信頼性の高いワイヤボンディングのための大気圧プラズマ表面洗浄

信頼性の高いワイヤボンディングのための大気圧プラズマ表面洗浄

Plasmatreat GmbHの大気圧プラズマ Openari-Plasma®は、表面の活性化と洗浄を行う世界的な先進技術の1つです。大気圧プラズマは様々な基材の前処理を目的に多くのアプリケーションで利用されており、ソリッドワイヤボンディングに向けた金属表面の洗浄にも有効です。大気圧プラズマ技術のプロセスはコスト効率が高く、インラインに組み込めるため、洗浄後ただちに溶接プロセスに進むことができます。

Plasmatreat GmbHグローバルビジネス開発マネージャー・エレクトロニクス市場担当のニコ・コーネン氏は、プラズマ処理の基本的な可能性について「金属の洗浄には3つの工程があり、それぞれ異なる効果と目的を持っています」と説明しています。最初の工程は中和で、表面電化と静的に結合した汚れ(塵粒子など)の両方を取り除きます。この処理は大気圧プラズマ処理の電荷キャリアによって行われます。次の工程では、水分やVOC(揮発性有機化合物)などの揮発性成分を、大気圧プラズマ処理の熱効果で蒸発させて除去します。最後の洗浄工程では有機汚染物質を取り除きます。大気圧プラズマの反応性により炭化水素鎖が分解され、より小さな揮発性分子(H2OとCO2まで)に分割されます。 

処理の成否は、表面の変化を目視で確認できる原子間力顕微鏡などを使用して検証が可能です。原子間力顕微鏡は走査型プローブ顕微鏡で、表面の機械的走査とナノメーター単位での原子力測定のために表面化学で使用されているものです。さらに、接触角法を用い、水滴などで表面張力の変化を確かめることもできます。プラズマ処理を施した表面では、水滴の接触角と高さが減少し、表面の親水度が高まるなど濡れ性に変化が生じます。

これが大気圧プラズマの表面洗浄がもたらす効果です。ボンディングプロセスの障害になるものとして、特に酸化物表面が挙げられますが、ブリードアウトによる汚染も信頼性の高い接合を妨げる原因となります。大気圧プラズマを用いれば、表面の汚れと酸化層が同時に除去され、金属合金の表面に清浄な面を露出させることが可能になります。半導体のアプリケーションでは、極細線を確実に接合するために、表面を極めてクリーンな状態にしておくことが求められるため、これは大きなメリットです。対象素材の表面にプラズマ処理を行えば、より安定的で広範囲な接合が実現します。

同様のプロセスが、特に半導体やLEDアプリケーションにおいて銅酸化物を除去するために使用されています。X線光電子分光法を用いれば、対象にダメージを与えることなく、固体の化学組成とその表面を判定することが可能です。その結果からは、処理後の表面では銅の割合が3%から38%に増加し、それに伴い炭素含有量が43%から18%に減少したことが分かっています。コーネン氏は「この変化を見れば、酸化銅が減少し、銅の表面積が増加していることが明らかです」と述べています。接触角の分析も同様の結果を示しており、ワイヤボンドがここでも信頼性の高い接合を形成しています。

アルミニウムと銅の基材に加え、ニッケル表面も大気圧プラズマの処理後に良好な特性を示しています。これは電池製造で特に重要になるポイントです。ニッケル酸化物はバリア層のように作用し、他の材料との接合が非常に難しいため、ニッケルでは表面洗浄と酸化物の除去が不可欠です。そこで、プラズマトリートでは、このアプリケーションのため、一般的な要件を満たすと同時にプロセスステップの温度要件も満たす(例えば50℃の制限を超えない)特殊なノズルを開発しました。

コーネン氏は次のように述べています「それぞれの基材でどの程度安定したワイヤボンディングが可能かは使用基材によりますが、いずれにしても上流のプラズマ表面処理はワイヤボンディングプロセスのアプリケーションウィンドウを改善します。濡れ性と接着力がどちらも最適化されるからです」。

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