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プラズマ処理によるLED照明の信頼性向上と長寿命化

今やLED技術は、一般照明や自動車分野に欠かせない存在です。省エネ性能、長寿命、調光・調色の柔軟性から、LEDは照明用途で広く普及しています。
自動車分野では、LEDヘッドライトが道路をより的確に照らし、交通安全性の向上に貢献しています。大手自動車メーカーが採用するマトリクスLEDフロントヘッドライトは、その代表的な例です。

自動車内装では、デザインの自由度と多様な照明効果がLED技術の普及を後押ししてきました。LED照明の開発では、ビーム形成に加え、外部環境に対する耐久性向上が重要なテーマとなっています。LED照明の長寿命化を図るとともに、製品ライフサイクル全体で色品質 (色度座標・色温度) や効率を安定して維持することが求められています。

新しい製造技術は、こうした開発目標に対応しつつ、低コスト生産の可能性を広げています。

LED製造における大気圧プラズマ技術の活用は、まさにこれらの課題に対する具体的な解決策を提供します。

  • ワイヤボンディング工程前のリードフレーム洗浄 (Openair-Plasma®)
  • 成形コンパウンドに対するポッティング材の密着性向上 (Openair-Plasma®)
  • シリコーン成形品への離型層形成 (PlasmaPlus®)

この分野での注目の導入事例

PlasmaPlus® — LED封止部品向け疎水性付着防止コーティング

大型ディスプレイはLEDパネルを組み合わせて構成され、スポーツアリーナなどで広告や案内表示に広く利用されています。 1つのディスプレイには数百万個ものRGB-LEDが搭載されており、それぞれのRGB-LEDには青・緑・赤の発光半導体チップが含まれています。3つのチップに流れる電流を制御することで発光スペクトルを混合し、多彩な色を再現することができます。これらのチップは、熱的に安定したシリコーンで封止されています。

しかし、柔らかいシリコーン特有の高い粘着性がLED表面に現れ、製造工程や稼働中に問題を引き起こすことがあります。

ディスプレイパネルの製造工程では、ウェーブはんだ付けによって個々のLEDが基板に実装されます。 この際、スタンピングや曲げ加工で発生したスズのフレークがはんだ槽に蓄積し、しばしばLEDのシリコーン表面に付着して歩留まりを低下させます。また、粘着性のあるLED表面はパネル組立時のピックアンドプレース工程で互いに、あるいはツールに付着し、生産ラインの停止を招きます。その結果、生産効率と歩留まりが大きく損なわれます。さらに、ディスプレイの稼働中にはほこりなどの汚染物質が時間とともに蓄積し、品質の低下につながります。

プラズマトリートのPlasmaPlus®(プラズマプラス) テクノロジーを用いることで、LED表面に極めて薄いガラス状の防付着層を形成することに成功しました。この層は製造工程および使用環境の双方で異物の付着を効果的に防ぎ、歩留まり向上とディスプレイの長寿命化に貢献します。

PlasmaPlus®保護コーティングによる接着剤ブリード防止

LEDや半導体チップの組立工程では通常、導電性エポキシ系接着剤が使用されます。熱硬化の過程で、この接着剤に含まれる低粘度成分が接合部からにじみ出し、特にワイヤボンドパッドの電気接点など周辺の表面を濡らすことがあります。この現象は「ブリード」と呼ばれています。

接着剤のブリードは、コンタクトワイヤとワイヤボンドパッドとの接続を弱め、最悪の場合ワイヤが浮き上がり、電気的接続が失われる可能性があります。また、ポッティング樹脂と筐体との接合強度にも悪影響を及ぼします。

プラズマトリートはパートナー企業と協力し、この問題に対応するための特殊な超薄膜ナノコーティングを開発しました。
PlasmaPlus®ブリード防止コーティングは、接触面の濡れを防ぎ、さらにワイヤ接続を強化します。この効果はワイヤプル試験によって明確に実証されています。コーティングは接着剤とリードフレームの接着には影響を与えず、チップボンディング前に適用され、乾燥条件下での保管においても極めて安定性が保たれます。

プラズマ洗浄による安定したワイヤボンディング

ダイとリードフレームを確実に接合するためには、リードフレームの接触面を清浄に保つことが不可欠です。わずかな有機汚染でもアルミニウムと銅の結合品質を低下させ、十分な熱が発生せず、ワイヤが溶融しないまま不完全な接合 (コールドボンド) となってしまいます。

こうした有機汚染は、ワイヤボンディング前にOpenair-Plasma®(オープンエアープラズマ) でリードフレームを洗浄することで、効果的かつ確実に除去できます。

このプラズマ洗浄プロセスにより、超音波摩擦溶接の品質も大きく向上します。